第6話『決意』
「”空白の才”?」
コンビニで買ってきたおにぎりを食べながら植木は尋ねた。満月も植木と森の手当てもすみ、話に参加する。
「なにそれ。」
「ほんまに知らんのかいな…。”空白の才”っちゅうのは自分のほしい”才”を一つもらえるっちゅう権利や。」
「「ふーん」」
コンビニで買ってきたプリンを食べながら満月は頷いた。
翡翠の言った通りね。さっきの平って人も同じような事を言ってた。
やっぱり、このバトルに参加するのは皆その”空白の才”目当てなのかな…。
少なくとも植木君は”空白の才”の事知らなかったみたいだけど…。…面白い子だな、やっぱり。
「たとえばオレの夢や!この戦いに勝ち抜いて”発掘の才”を手に入れて… 自分だけの温泉を掘り当てるっちゅう夢があるんや!!」
「温泉かぁ。」
「せや!ええやろ!なぁ!温泉!」
「…相変わらず温泉バカかぁ…(ぼそっ」
「何か言うたか、満月?」
笑顔でじろり、と見られて満月は慌てて目を逸らして手元のプリンを口に運んだ。
地獄耳も相変わらず…。まぁ、温泉バカなのは会ったとき銭湯の前でその浴衣ルックをしている時点で分かってたけど。
佐野はそんな満月の心情にも気づかずぐっと拳をつくり熱く語った。
「そのためにもオレは絶対優勝したるんや!!めざせマイ温泉や!!」
「ふーん。」
興味なしかい!!
しかし植木は食べる事に夢中でそれどころじゃないらしい。全く相手にされていない佐野に満月は噴き出してしまった。そしてまた佐野にじろりと見られるが今度は気にしてる場合ではなかった。
そこで植木は先ほどの事を思い出し、ケラケラと笑っている満月を見た。満月は植木から視線を感じて目を合わせる。
「植木君?」
「さっきはありがとうな」
「え?」
「森のこと。」
平と戦っているとき、森が巻き込まれないように移動させた。多分、その事に礼を言っているのだろう。
満月はにこりと笑って見返した。
「全然!あ、私神崎満月って言うの。満月で良いよ」
「…植木耕助。中一。出席番号…」
「あははっ!やっぱり、お、面白いよ、植木君…っ!」
腹をかかえて笑い出した満月。それを不思議そうに見る植木。2人を見て佐野は思わず溜め息がでた。
暫くそうしていたがやっと笑いの波がひいたのか肩で呼吸してヒィヒィ言いながら満月は目の涙を拭った。
「あ、あはっ…はぁー。いやぁ、笑った」
「笑いすぎやと思うで」
「だ、だって。面白いんだもん。植木君」
「………」
植木は2人をじっと見ている。何だか、面白いやつらだ。そう思っていた。
満月はふと先ほどの佐野の夢を思い出して思った。
「ねぇ、清一郎はその夢のためにこのバトルに参加したの?」
「せや!…けどまあ、それだけちゃうか…」
「?」
佐野はぎゅっと手を握り締めた。
バトルに参加しとる中学生の中には今日の平みたく―――”空白の才”を悪用しようとしとる奴がゴロゴロしとるらしいからな。
「でも…そんなんおかしいやろ。中学生の道、思いっきりはずれとるやんか!悪者にとられるぐらいなら――オレが”空白の才”をとったるんや!!」
そう語った佐野の目は強い意志があった。満月は佐野を見て自分の事も考えてみる。
――そうか。”空白の才”は自分で好きな才能を書ける。ということは、それを悪用する人も出てくるんだ…。確かに、そんな私利私欲に使う人には渡って欲しくない…。
手に持っていたスプーンをぎゅっと握り締める。植木はそれに気づいたが何も言わなかった。
――――決めた。
私は”空白の才”を悪者から守ってみせる――――!!!
満月は自分がバトルに参加する”理由”を見つけられた気がした。想いがあればその分強くなる。翡翠がそう言っていた。
だったら、私はそのために強くなる。
そして、もう今日みたいな悔しい思いは絶対にしない―――!!!
「…ゆーても結局”マイ温泉”のついでやけどな!!」
「痛い痛い。」
バシバシと植木の肩を叩く佐野。それを笑いながら見ていた。
裏でラファティが地獄に落ちている事も知らずに―――。
「あーあ、やっぱり落ちたか。」
「ルールその五十…”神候補はいかなる場合も、バトル中の手助けを禁止する。”…なるほど」
「怖いですねー」
たった今ラファティが地獄に落とされた所に3人の神候補が立っていた。
「ルールを犯せば地獄行きってワケか。おっかねー!」
「…僕らも気をつけましょう。小林さん…翡翠さん…」
「そうですね…」
3人は家へと向かう4人の後姿を眺めていた。どうやら森が目を覚ましたので解散になったらしい。
女の子同士森と仲良くしてる満月を見て翡翠は目を細めた。
「ところでワンコ。お前の担当してる奴…」
「佐野、ですよ?」
「おぉ。その佐野ってやつ。植木のコト見逃しちまってよかったのか?」
「あ、そういえば。満月も、ですよね?」
「う…。さ、佐野くんはケガ人相手に戦うつもりはないそうです…。それに…」
犬丸はちらっと翡翠を見た。翡翠はにこにこと犬丸を見返す。
「幼馴染の満月さんとも戦うつもりは無いそうです。」
「ふふっ。それ以前に佐野君は満月が能力者って事に気づいてませんよ?満月も言ってないみたいですし。」
「翡翠。お前、またやっかいな人物を能力者にしたもんだなー。」
そう言いながらも小林の顔はニヤニヤと笑っていた。大方この状況を楽しんでいるのだろう。
「でも、満月は本当に良い子なんですよ……」
翡翠はふっと空を見上げた。夕焼け雲を眺めた。
そんな翡翠に小林はニッと口の端を吊り上げた。
「それに満月は可愛かったしなー」
「…満月に手を出したら怒りますよ…?」
「「………」」
その一言を呟いた翡翠が死ぬほど怖かったのはここだけの話。
続
終わり方微妙ですいませんorz
翡翠さんは満月さんバカです!(笑)満月さんに手をだすもんならたとえ幼馴染の佐野君も許さなかったり(笑
次回は森ちゃんと少し会話してオリジナルに突入予定です!
2005.8.27
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