第4話『久々の再会』
「満月、お出かけですか?」
「うん。ちょっと幼馴染のところに遊びに行く予定なの」
「あぁ。佐野君ですか」
おしゃれをした満月を見て翡翠は声をかけた。今、満月の家に居る。鏡の前で何度も何度もチェックをしているのを後ろのソファでお茶でも飲みながらゆっくりと眺めていた。
そんな、念入りにしなくても十分可愛いと思うんですけどね…。
満月は鞄の中に携帯やら財布やら必要な物をいれていく。勿論、2Bの鉛筆も持っている。
「じゃあ、行ってくるね!」
「はい、行ってらっしゃい」
まるで親の心境だな…と思いつつも、嫌ではないので翡翠はにこにこと満月を見送った。
佐野が現在住んでいる所に行くには新幹線を使わないと行けない。大変だし何より満月の家からだと駅まで遠い。それに佐野は明日こっちへ帰ってくるみたいなので態々行く必要は無かったのだ。だが、好奇心もあり満月は明日一緒にこっちへ帰ってくる予定で1日お泊りに行く事になったのだ。
そんな満月が歩くと、すれ違い様に必ず誰もが振り返った。それは満月の容姿もそうなのだが何より『振り向きの才』というものを持っているので自然と一般人は振り返るのである。
この才凄くいらないんだけどな………。
溜め息が出るのを押さえ、新幹線に乗り込む。
数ヶ月ぶりに再会する幼馴染の顔を浮かべると心が弾んだ。
「よーしもうちょいや。しっかりつかまっときや―――!下見たらあかんで嬢ちゃん!」
その頃、満月の幼馴染は銭湯の煙突を登っていた。煙突の上にいる女の子は不安のため、下を覗き込んでしまった。
その結果手を滑らせて落下してしまう。
満月の幼馴染―――佐野は足を煙突に突き刺すと両手を離して少女を受け止める。
「オーライや」
そして、無事受け止める。しかし重力には逆らえずそのまま後ろに仰け反り頭をぶつけた。
だが、落ちる事は無く傍観者の歓声をうけ無事下まで降りてきた。
「お!気ぃついたな。エントツなんて上ったらアカンで!」
少女は目を覚ますと辺りを見回した。佐野は何かを探すような少女の仕草に首を傾げる
「どないしたん?もう怖ないで?」
するとまた傍観者達が騒ぎ始めた。何だ?と思っていると目の前に現れたのは真っ黒になった少年。少年は少女にお手玉を渡した。
「………おばあちゃん!おばあちゃんのお手玉だぁ!!!」
少女は泣きそうな表情から一変して笑顔を浮かべた。すると後ろから少女の両親が心配で駆け寄ってきたが、少女が無事な事を確認して安心した表情で少女と話をしていた。
(お手玉か……)
考えてみれば…女の子がなんの理由もなくエントツ上るってのも変な話やな…。
こいつにはそこまで考えられる余裕があったゆうことか……
「兄ちゃん!佐野清一郎。俺の名や。」
「………?植木耕助。」
名前を名乗ったかと思うと眼鏡を頭にかけた少女に引っ張られていった。その様子を見ておかしそうに笑う。
ありゃシリにしかれるタイプやな。
引き摺られるようにして去っていった植木の方を見ていた。
「植木耕助か……」
「清一郎ーーっ!!」
「!」
自分の名前が呼ばれて振り返るとそこには懐かしい幼馴染がこちらに向かって走って来ている所だった。
変わりのない幼馴染に笑顔を浮かべる。
「よぉ、満月。元気そうやないか」
「勿論!清一郎も全然変わんないね」
「ほっとけ!」
久々の再会でお互いつられる様に笑った。そして約束どおり佐野の家に向かうため銭湯を後にした。
向かう途中思い出話などに華を咲かせていた。
「…それにしても、すっかり関西弁抜けてしもうたなぁ」
「うんっ。頑張って標準語を話しているつもり!」
「はぁ…そんなんこだわらんでもええやんか…」
関西弁がすっかり抜けてしまっている満月に何だか寂しさを感じて溜め息をつく。それ以外は自分の知っている満月で安心したことも事実だが。今佐野が住んでいる家を想像して楽しみにしていた満月だがふと横を見てピタリと足を止めてその場に佇んだ。それに気づかず歩いて行こうとする佐野の背中を慌てて掴んで引き止めた。
「清一郎、見て!!見て!!」
「あぁ?なんやー?珍しいもんでもあったんか?」
「め、珍しいってもんじゃないよ!!あ、あの人、口から火噴いたぁっ!!」
「なんやとお!!?」
ぼけーっとしていた佐野は一気に覚醒した。満月が指差す方を見てみれば確かに口から火を噴いている能力者がいた。
そして、その能力者は先ほどの植木を狙っていた。
あいつも能力者やったんか―――!!
一緒に居た女の子に引っ張られていく植木を見て佐野も後をつける。その行動に驚いたのは他でもない満月だ。
「えっ?ちょ、ちょっと何処行くの!!?」
「用事が出来たんや!そこまっすぐ行ったとこに家あるから満月は先に帰っとけぇっ!」
「はぁ?!わ、私もついてくっ!」
「アホゥッ!!ついてくんなや!危ないで!?」
「あ、アホゥ!!?(カチン)もうっ!何が何でも行ってやる!!」
満月も走って佐野の後をついていった。しかし心の中では初めてバトルを観戦出来ることにワクワクしていた。
佐野は私の事、能力者って気づいてないけど。私は翡翠から聞いたから知ってる…(その所為で能力者になったのだが)
ここはバレるまで一般人のフリでもしようっと!その方がなんか楽しいしっ!!
あくまでも楽観的な満月であった。
植木たちが逃げ込んだ場所は体育館。満月と佐野も前方の3人にバレぬよう中へと入り込む。
「満月。危ないからここにいるんやで」
「うん。自分の身が可愛いからね。そんな事しないよ」
「…そうか。それならええんや(…相変わらずやな」
佐野の言う事に頷いて満月は柵によりかかり観戦した。
初めての能力者同士のバトル。
どんな戦法を見せてくれるんだろうか!!
満月はドキドキしながら下を眺めていた。
すると炎と書かれたTシャツを着た男が緑の髪の子に向かって火を噴出した。
「!!」
あの人、口に水を含んでから火を噴いた…。
って事は”水を炎に変える能力”を持っているのね。
そして緑の髪の子は下に転がった空きのペットボトルを手で潰した後、大きな木が現れた。
それを楯に火を塞ぐが木と火の相性は最悪。勿論、すぐに燃えてしまっていた。
あの子は”ゴミを木に変える能力”かな?
でも、あの炎の人相手じゃ……。
心配そうに見守る満月とは違い佐野は楽しそうに観戦していた。すると、平は口に含んだ水でうがいをした後先ほどと同様に発射した。
しかし明らかに火力が上昇している。満月は目を細めてその様子を食い入るように見た。
彼は”能力の応用”と先ほど言っていた。そして今は植木君も”能力の応用”を使い、反撃をしていた。
どの能力にも応用があるとすれば…私の能力にも応用が効くのだろうか…。
満月はこのバトルで得られるものは全て得ようと真剣な表情で見ていた。
それは、佐野も見たことが無いほどの真剣さで瞳に強い光が篭っていた。
続
いやぁ、満月さんモテモテ(笑)植木に『女子に好かれる才』を持っていたので満月さんもありですよねぇ?w
最初満月さんの才数はそんなに多くない設定だったのですが、ロベルト十団のほとんどが400を超えているという驚異的だったので満月さんも400ほどではないですが結構持ってもらいました。
才を考えるのが大変ですが結構楽しいのでやりがいがあります(笑
早くドグラマンション行きたいなぁ…(気早っ!
2005.8.26
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